アメリカでは、基本的にアメリカに居住しているすべての人が「確定申告(タックスリターン)」を行わなければなりません。そこで確定申告を行う必要のある人、日本在住でもアメリカの確定申告を行う必要があるケースについて確認しましょう。さらに確定申告の期限、やり方(オンライン・郵送)・会計士への依頼、費用についてもご紹介します。
1. アメリカ・ハワイの確定申告とは?
2. 確定申告を行う義務がある人は誰?
3. 日本在住でもアメリカの確定申告を行う必要があるケース
4. 確定申告の期限はいつ?
5. 確定申告のやり方は?オンライン・郵送?
6. 確定申告は会計士に依頼する?自分でできる?
7. 確定申告の費用
1. アメリカ・ハワイの確定申告とは?
アメリカでは、確定申告を「タックスリターン(Tax Return)」と呼びます。日本の確定申告と同様に、1年間の収入を計算し納税額を算出し、これまでに支払っていた税金が多ければ還付金を受け取り、不足分があれば支払いを行います。
確定申告は、連邦政府と居住地の州のそれぞれに提出して、それぞれに納税します。例えばハワイ州に在住の方の場合は、連邦政府とハワイ州の両方に申告を行い、それぞれの納税額を算出して納税することとなります。連邦政府への申告はアメリカ内国歳入庁(Internal Revenue Service:IRS)に、ハワイ州の申告はハワイ州税務局へ行います。
タックスリターンに関する主な用語
- 確定申告 Tax Return
- 申告する file a tax return
- 還付金 Refund
- 納税額・不足額 Tax Due
- アメリカ内国歳入庁 Internal Revenue Service(通称 IRS)
- ハワイ州税務局 State of Hawaii Department of Taxation
2. 確定申告を行う義務がある人は誰?
アメリカでは、アメリカに居住し収入を得ているすべての人が、個人で確定申告を行う義務があります。確定申告の対象となるのは、例えば次のような人です。
会社員
日本では、会社員の場合は会社を通して「年末調整」を行うのみで、確定申告を行う必要はありません。しかしアメリカでは、企業に勤める会社員であっても、一人ひとりが個人で確定申告を行わなければなりません。会社員の場合、雇用主から「W-2」フォームを受け取るので、これをもとに確定申告を行います。
個人事業主・フリーランス
個人事業主やフリーランスの方も、確定申告を行います。個人事業主やフリーランスの確定申告では、主に取引先から受け取る「Form 1099」フォームで収入を申告します。
会社員なら給料から税金を天引きして支払いを行いますが、個人事業主やフリーランスの場合は、「予定納税」であらかじめ税金を支払っておき、確定申告でその税額を最終的に申告する方法があります。
留学生・OPT
留学生やOPTの方が、アメリカ滞在時にアルバイト等で収入を得たら、短期間で少額であっても確定申告を行う必要があります。
3. 日本在住でもアメリカの確定申告を行う必要があるケース
日本に住んでいる方は、日本に納税します。しかし日本在住であっても、アメリカの確定申告を行わなければならないのが、アメリカで不動産投資などを行い、アメリカで収入を得た場合です。
ハワイでは、日本在住の方が不動産を購入して、その所有物件を賃貸に出して不動産収入を得ているケースが多くあります。そのような場合、ハワイで得た不動産収入について、アメリカとハワイ州に確定申告を行って納税しなければなりません。
4. 確定申告の期限はいつ?
アメリカの確定申告の提出期限は、毎年「4月15日」です。ハワイ州への申告期限は毎年「4月20日」で、各州への申告は異なる場合があります。
2020年1月~12月の収入についての確定申告は、連邦政府へは2021年4月15日、ハワイ州には2021年4月20日までに提出することとなります。
申告期限に遅れた場合、納税に対してペナルティと利子が発生しますのでご注意ください。
5. 確定申告のやり方は?オンライン・郵送?
確定申告の具体的なやり方をご紹介しましょう。
夫婦合算(ジョイント)?申告のステータス
アメリカの確定申告では、まず申告のステータスを選択します。それぞれのステータスによって控除額や税率などが変わります。主なステータスは以下の3つです。
- 独身(Single)
独身の方が確定申告を行う際、このステータスを選択します。 - 夫婦合算(Joint)
夫婦が2人の収入をまとめて申告するときのステータスです。夫婦が個別に申告するより、税金を低く抑えられる傾向にあります。 - 夫婦個別(Separately)
結婚している夫婦が、収入を合算するのではなく、個別に申告する方法です。
申告はオンライン・郵送?
アメリカの確定申告は、オンラインでの申告が可能です。一部条件によってオンラインで申告できない場合でも、申告書類を郵送で送ることもできます。
還付金の受取・不足金の支払い方法は?
確定申告を行い還付金を受け取る場合、アメリカの銀行口座への口座振込が一般的です。申告書に、銀行のRouting Numberと口座番号を記載しておけば、後日その口座に直接振り込まれます。
不足金を支払う場合は、チェック(小切手)を郵送するか、マネーオーダーを利用する方法などがあります。
6. 確定申告は会計士に依頼する?自分でできる?
確定申告を行う方法ですが、次の3つがあるでしょう。それぞれのメリットとデメリットを整理してみましょう。
自分で行う
IRS(アメリカ内国歳入庁)のウェブサイトに確定申告の申告書があり、ダウンロードできます。さらに記入方法も記載されているので、それを見ながら自分で申告書を作成して提出できます。費用はかからないメリットがありますが、アメリカの税や確定申告に関する知識が必要で、申告に間違いが生じやすいことが難点です。
参考:
IRS(アメリカ内国歳入庁)
State of Hawaii Department of Taxation(ハワイ州税務局)
タックスリターンのソフトを利用する
アメリカには、タックスリターン専用のソフトやオンラインサービスがあります。ガイドに従って、収入などを入力していくと自動的に税金を計算し、申告書も作成できます。これらのサービスの利用には費用がかかりますが、100ドル以下か、多くても数百ドル程度で収まり、安価です。控除などが少なくシンプルな申告の場合で、英語がわかる方なら、比較的簡単に利用できます。
会計士に代行を依頼する
会計士に依頼する方法も一般的です。特に日本の方なら、日本人や日本語のできる会計士に依頼すれば、必要なやりとりは日本語で行えるため心強いと感じることでしょう。またIRSなどから税務に関して問い合わせがあったときに、適切な対処をアドバイスしてもらえるため、より安心できるでしょう。ただし、3つの方法のうち費用は最も高額となります。
7. 確定申告の費用
会計士に確定申告を依頼した場合の費用は、申告の内容によって異なりますが、1人あたり数百ドル程度から。ただし、自分では知らない控除を申告してもらえるなど、会計士に依頼するメリットは大きいと言えるかもしれません。
参考:
ハワイのGET(GE Tax)とは?申告義務のある人・申告方法まとめ
「アメリカの履歴書」日本との驚きの違いは?【海外就職の第一歩】
【ハワイの給料】職業別平均収入&生活するのに必要な時給はいくら?