ワイキキのホテル4軒でストライキ！宿泊客の影響とハワイが抱える闇…

2018年10月8日からハワイのホテル5軒（オアフ島ワイキキ4軒、マウイ島1軒）で、一斉に従業員によるストライキが発生しました。このストライキの裏には、楽園の島ハワイが抱えている闇が渦巻いている…とも言えるかもしれません。

ストライキが行われているホテルの現状と、宿泊ゲストにどんな影響が出ているのか、ハワイ在住の筆者がご紹介します。

■目次
1. ストライキが起きているホテル5軒はどこ？
2. ストライキが起きた原因とは？
3. ストライキによる宿泊客への影響は？
4. 従業員の怒りに火を注ぐ事態が発生
5. ストライキは一体いつ終わるの？

1. ストライキが起きているホテル5軒はどこ？

今回発生したストライキは、マリオットホテルグループが運営する、以下の5つのホテルです。5つのホテルの従業員をあわせると、総勢約2,700名。その従業員たちが一斉にストを実行したわけです。またこの5つのホテルは、キョーヤ・ホテルズ・アンド・リゾートが所有するホテルです。

ちなみに、マリオットグループ運営の5つのホテルが今回のストライキを行っていますが、ワイキキにある「ワイキキビーチ・マリオット」では、ストライキは行われていません。

シェラトン・ワイキキ

ワイキキビーチに面した大型ホテルで、日本人が多数パッケージツアーなどで利用するのが「シェラトン・ワイキキ」です。

ロイヤル・ハワイアン

「ロイヤル・ハワイアン」は、“太平洋のピンクパレス”という愛称がある、ピンク色の外観がとても印象的なホテル。ホテルの内観も客室もピンク色のインテリアやグッズで統一されていて、女性客に特に人気のラグジュアリーリゾートです。

モアナサーフライダーウェスティンリゾート＆スパ

ワイキキにある最古のホテルとして知られる「モアナサーフライダーウェスティンリゾート＆スパ」。荘厳な佇まいでワイキキの中心部にあります。日本人のウェディングの利用も多い、由緒正しきホテルです。

シェラトン・プリンセス・カイウラニ

「シェラトン・プリンセス・カイウラニ」は、ハワイにあるシェラトングループの中では少しランクダウンして、比較的格安で利用できるホテルとして利用されています。インターナショナルマーケットプレイスの隣という抜群のロケーションも魅力的。

シェラトン・マウイ・リゾート＆スパ

マウイ島カアナパリのリゾートにあるシェラトングループのホテルが、「シェラトン・マウイ・リゾート＆スパ」。ほとんどの客室がカアナパリビーチに面していて、リゾート感があふれるステイが実現できる場所として人気が高いです。

2. ストライキが起きた原因とは？

今回ストライキによって従業員がホテル側に訴えていることは、賃金アップです。ハワイは住宅費から食費などあらゆる生活費がとても高い場所。それなのに、給与レベルは米国本土に比べるととても低く、1つの仕事だけでは生活していくために十分な給料を得られないため、2つまたは3つと複数の仕事をかけもちで行っているケースも当たり前なのです。

そのため、ストライキを行っているメンバーたちは「One Job should be Enough（1つの仕事で十分だ）」と声をあげているのです。また、労働条件面での改善も求めています。

バカンスを楽しめる海外旅行先として、世界中から人気の高いハワイですが、ホテルの宿泊代金も様々な物価もどんどん上がっているのが現状。それに対して、地元ハワイで暮らす人々は十分な収入が得られず、休みもなく働き続けている…という闇があるわけです。

参考：【ハワイの給料】職業別平均収入＆生活するのに必要な時給はいくら？
参考：ハワイに移住したけど後悔…失敗の裏側にある悲しい理由7つ

3. ストライキによる宿泊客への影響は？

ストライキによって、宿泊客へさまざまな悪影響が出ています。これでは、利用客の満足度が下がりっぱなしになるのは否めないでしょう。

客室の清掃・ルームサービスがストップ

ストライキが行われているホテルでは、客室の清掃が十分に行われない事態に陥っています。

例えば、「モアナサーフライダーウェスティンリゾート＆スパ」では、ロビーのフロント横にタオルの交換場所が設けられ、宿泊客は自分で古いタオルをおき、新しいタオルをピックアップしています。

「シェラトン・プリンセス・カイウラニ」では、シャンプー、ソープなどのアメニティ類がフロントロビーに大量に用意され、宿泊客はここで必要な分を自分で取ることになっています。

レストランがオープンしない!? 制限付きの営業に

またホテルの中にあるレストランも、従業員がほとんどおらず、ほぼセルフサービスになっているような場所もあります。また、朝食については宿泊客しか受け付けない（通常は、一般客も来店できますが）場合や、普段はアラカルトでの注文ができるのに急遽朝食ビュッフェだけを行うレストランもあります。

おそらく、厨房で料理を作る従業員も数が限られているはずなので、味の面でも満足がいくようなものになるとは期待できません。

騒音被害

ストライキが行われているホテルでは、周辺で朝から深夜まで一日中、従業員が拡声器やバケツをたたいたりしながら、行進を続けています。これによって、ホテルの周辺は終日騒がしく、客室の場所次第ではかなりうるさいと感じることになるかもしれません。

特に、「モアナサーフライダーウェスティンリゾート＆スパ」と「シェラトン・プリンセス・カイウラニ」では、ホテルの正面玄関の前で行進が行われているため、せっかくのホテルの雰囲気も台無し…と言わざるを得ません。

4. 従業員の怒りに火を注ぐ事態が発生

こんな状態でストライキが続く中、ストライキを行う従業員側をますます怒らせる事態になったのが、ホテル側の対応です。

ストライキ発生から5日ほどたった10月12日、シェラトン・プリンセス・カイウラニが緊急で従業員の募集広告を掲載。その内容とは、時給23ドルで3日間働いたらボーナスで300ドルをプラスするというもの。

現在の従業員のおよそ2倍近くの給料を提示し、ボーナスまで出すとは…。「そんなことよりも、ストライキの要求に耳を傾けろ！」という声が上がっていることは想像に難くありません。

参考：【ハワイの給料】職業別平均収入＆生活するのに必要な時給はいくら？

5. ストライキは一体いつ終わるの？

今回のハワイのホテルで起きたストライキ。現地メディアの報道によれば、ホテル側は従業員と話し合いを行う予定はないとのこと。いつまでたっても、ホテルと従業員の思惑は平行線のままで、先が見えていないのが実情です。

ストライキ発生から1週間が過ぎた頃から、いよいよ2019年のハワイを訪れる観光客数にも影響が出るのではないかと危惧する声があがっています。

これからハロウィン、サンクスギビングデー、クリスマス、年末年始とイベント続きのホリデーシーズンが始まるのに…。ホテルを利用する人も、そこで働く人も、みんながハッピーになれるハワイであってほしいと願わずにはいられません。

※このストライキは現地時間2018年11月27日夜、ホテル側からの賃金アップ等の提示案について99.6%の従業員が賛同することとなり、双方が合意。ついに51日間に及ぶ長期のストライキが終了することとなりました。（2018年11月28日更新）