「ハワイに住みたい」「ハワイで働きたい」という夢を叶えたいときに、必要となるのがアメリカのビザです。そして数多くあるビザの中で、日本人移住者が多く利用しているのがJ1ビザです。そこでJ1ビザとはどんなビザか、J1ビザ向けにどんな求人があるか、J1ビザ取得にかかる費用をご紹介します。またJ1ビザにあるデメリットや失敗談、新型コロナウイルスの影響について考えてみます。
住みやすい気候と美しいビーチが魅力のハワイ。ハワイを一度訪れると「このまま暮らしたい」と思う人が多くいます。しかし、日本の国籍を持っている日本人がアメリカ(ハワイ)に住んだり、現地で働いたりするためには、ビザの取得という高いハードルを超えなければなりません。
アメリカには海外の国籍を保有する人に向けて、さまざまなビザを設けており、その種類は全部で30種類以上になります。これを大きく2つに分類すると、「非移民ビザ」と「移民ビザ」に分けられます。
「非移民ビザ」は、アメリカ国外に国籍を持つ人が一定期間アメリカに滞在することが許可されるビザで、「移民ビザ」は滞在期間や活動の制限がないビザのこと。これらのビザの中で、日本人になじみのあるのが、J1ビザを含めた下記のビザです。
アメリカのビザが、Eビザ、Lビザなど、各種アルファベットで決められる中、Jビザは「交流訪問者ビザ」に該当します。J1ビザは、教育や芸術、科学などの分野での、人材・知識・技術の交流を促進するためのビザです。実地訓練を受ける研修生や、人材交流プログラムへの参加を目的とした訪問者などが対象となり、ハワイでインターンシップやワーキングホリデーを体験できるとイメージすればわかりやすいでしょう。
このビザを利用してアメリカに入国する人は、参加プログラムでの交流参加者のため、参加プログラム以外の機関で働くことは許可されていません。J1ビザの有効期間は一般的に18ヶ月で、研修分野によって12ヶ月の場合もあります。
通称「グリーンカード」と呼ばれるのは永住権で、移民ビザに当たります。米国市民や永住権保持者と結婚することで得る場合や、スポンサー企業がついて取得できる場合、年に1度の抽選で決まる「移民ビザ抽選プログラム」を利用して取得する場合などがあります。
当選者が語る!アメリカ永住権「グリーンカード抽選」応募方法まとめ
本来であれば、米国籍を保持していない海外の人は、ビザがないとアメリカに入国できません。しかし、90日以内の商用または観光目的での滞在であれば、ビザを取得しなくても入国して滞在できるのが「ビザウェイバー(ビザ免除プログラム)」です。日本人はこのビザウェイバーを利用することができるため、普段のハワイ旅行ではこの手段を利用して入国・滞在しているのです。
ただしビザウェイバーでも、ESTAと呼ばれる電子渡航認証システムの登録が必要となりますので注意が必要です。
ハワイ・アメリカの移住&滞在に必要なビザ一覧・ESTA申請法
では、J1ビザを利用してハワイに滞在するとき、具体的にどんな求人があるでしょうか?
ハワイは日本人が多く訪れる観光地。ハワイを訪れる人のうち、最も多いのがアメリカ本土の人、そして2番目に多いのが日本人です。そのため日本人向けの観光関連企業(旅行会社、ウェディング会社、ツアー会社など)では、J1ビザを利用して現地で活躍する日本人がたくさんいます。
そのほか、ハワイで暮らしている日本人も多いため、現地のメディア会社、ウェブ制作会社、広告代理店、美容室など、多種多様な業種でJ1ビザの求人があります。
J1ビザを利用してハワイでインターンシップを経験するなら、現地で求人のある会社と働きたい人を繋げる斡旋会社を利用するのが、一番手っ取り早くできる方法です。おすすめの求人を紹介して、ビザ取得サポート、さらに現地滞在に関するさまざまな相談にも応じてくれます。
そして気になるのが、J1ビザ取得に関わる費用です。斡旋会社を利用した場合、12ヶ月の研修ならビザ申請にかかる費用は6500~7000ドル、18ヶ月なら7000~8000ドルが相場のようです。
この他に、ハワイまでの航空券代、現地での滞在費、宿泊費が必要となります。
アメリカの就労ビザは、スポンサー企業がつくことや、ビジネス分野での諸条件など、細かく規定があり、決して誰もが簡単に取得できるものではありません。しかしJ1ビザは交流訪問という目的と短い期間のため、比較的取得しやすいビザで、手軽に「ハワイに住みたい」夢に近づける方法になるでしょう。
しかし、現地企業で就労経験があり現地在住の筆者から見ると、J1ビザのデメリットにも目を向けなければならないと感じます。これらを理解した上でないと、思わぬ失敗談に繋がる可能性も否定できません。
J1ビザを利用してハワイで働く人は、一般の社員に比べて給料が低いため、雇う企業から見ると「お得に日本人労働者を確保できる」手段のひとつになります。ハワイには現地で暮らす日本人が多いとはいえ、ハワイの企業の多くが、優秀な日本人の人材を確保するのに苦労していることを考えると、18ヶ月または12ヶ月という短い期間にはなりますが、低い給料で日本人に働いてもらえるのは、メリットと捉えられるでしょう。
ハワイでJ1ビザで働く人の給料は、月1500~2000ドルほど。ハワイは物価が高く、家賃はStudio(ワンルーム)で1300~1500ドルほどします。ルームシェアをするなどして、その給料内でやりくりする人もいるそうですが、食費なども全般に日本より高いため、J1ビザでもらえる給料だけで、生活するのはとても厳しいと心得ておいた方がいいでしょう。
おまけにビザ取得や航空券など100万円近くを自腹で払うことになります。「ハワイが好きだから、お金を自分で払ったとしても、ハワイに行きたい」と、納得した上でそれだけの高額を払うことに決めた方なら、もちろん問題ありません。でもそうでないなら、本当にJ1ビザが自分にとってベストな手段なのか、考えてみるといいでしょう。
J1ビザが終了した後、企業との相性が良く、運よく別の就労ビザの取得をサポートしてもらえるケースもゼロではないでしょう。しかしJ1ビザの終了後に、他の種類のビザに変更することは難しいと言われており、実際には日本に帰国するのが王道のようです。
J1ビザでハワイで働いた経験が、その後のキャリアとして活かせるか?逆に不利にはならないか?事前によく考えておくことをおすすめします。
新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大し、海外渡航が制限される中、J1ビザの行方はどうなるのでしょうか?
感染が拡大し始めた2020年3月に、まず在日米国大使館と領事館は、非移民ビザと移民ビザの面接の一時中止を発表しました。その後2020年6月、トランプ前大統領が新規のビザ発給停止を発表。2020年10月には、IT技術者が多く利用するH1Bビザなどの特定のビザについて、発給要件を厳しくすると発表しています。
新型コロナウイルスの影響でアメリカ経済や失業率が悪化する中、アメリカの雇用を守ろうと、ビザの発給に対してネガティブな報道が続いていますが、J1ビザの発給に関しては、従来通り進んでいると言われています。
ただし観光業を主産業とするハワイ経済が大きな打撃を受けたことで、新規のJ1ビザの求人の件数は少なくなっている可能性が高いでしょう。新型コロナウイルスの影響が落ち着いてくれば、コロナ以前のようにビザの発給と現地企業による求人数も少しずつ回復していくのではないでしょうか。
参考:
ハワイ・アメリカの移住&滞在に必要なビザ一覧・ESTA申請法
コロナ禍で露呈!ハワイ経済の弱点とハワイで働くリスク7つ
ハワイで仕事探し!日本人の求人が出ているリスト
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